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足場の長い歴史とは?現代の足場の種類についても解説
2022年7月25日
今や工事現場では当たり前にみられる足場。実は古くからの歴史があることをご存じでしょうか。
長い歴史を経て、現在ではいろいろな種類・構造の足場が存在しています。
今回はそんな足場にスポットを当てて建築現場を見ていきましょう。
この記事を読めば、足場が時代と共にどのような変化をしてきたのか、どんな種類があるのかなどの理解を深めることができます。
足場とは?
足場とは、建築工事や改修工事を安全に行うために仮設で組み立てる構造物のことです。
高所で作業するための床、作業員が移動するための通路として機能します。
足場っていつから作られはじめたの?
足場には非常に長い歴史があります。古代エジプトのピラミッドの建設でも足場が使用されたという説があり、それが正しいとすると西暦前2,500年には足場の歴史がはじまっていたことになります。
また、一説によると西暦前300年から始まった中国の万里の長城の建設にも足場が使われていました。
万里の長城規模の建築物を作るのには、足場もかなり壮大になりそうですよね。
ということで、「足場」とひと口に言っても時代や地域によってスタイルに大きな違いがあります。
泥や砂礫、レンガなどを積み上げただけのものもありますし、竹を使った軽量化の足場を作っていたとも言われています。
ここからは、日本の足場の歴史を見てみましょう。
初期:足場のはじまり
日本では、奈良時代(710〜794年)の遺構から足場の跡と見られる「足場穴」が発見されました。
このことから、日本でも奈良時代にはすでに丸太足場が使われていたと考えられ、足場の建て方にはすでにいくつかのパターンが存在していたことが判明しました。
奈良時代は礎石の上に柱を建てるようになった時期であり、高所で作業する必要性が生じたことから足場が広まったと考えられています。
その後、平安時代には足場を作って高い所に登るという意味の言葉「麻柱(あなない)」が使われるようになっていました。
この言葉は、有名な「竹取物語」の話の中にも出てきます。
話の内容には「まめなる男二十人ばかり遣はして、あななひに上げすゑられたり(忠実な家来の男を二十人ばかり派遣して、高い足場を組んでその上に登らせた)」とあります。
中期:丸太足場技術の発展
鎌倉時代から江戸時代にかけて、丸太足場の技術がさらに発展していきました。
鎌倉時代に描かれた「松崎天神縁起絵巻」(1311年頃)には建築現場の様子が描かれており、木材を使った足場が建造物の太い柱を囲むようにして組まれていた様子が分かります。
当時は技術の進歩が非常にゆっくりだったことを考えると、奈良時代も同様の方法で足場を組んでいたのでしょう。
また、時代が進んで江戸時代に描かれた「真柴久吉公播州城郭築之図」でも、当時の丸太足場技術を確認することが可能です。
それは16世紀末の姫路城の改修工事の様子を描いた絵ですが、江戸時代の建築技術を反映したものだと考えられています。
現代:鋼製の足場の誕生
1900年代の初めから現代まで進むと、欧米では鋼製の足場が徐々に木材に取って代わるようになっています。
森林保護の観点から日本でもそれから半世紀くらい遅れて鋼製の足場が使われ始めました。
初めて鋼製の足場が用いられたのは、1954年の東京大手町の東京産業会館の建築工事でした。
その後、国内で鋼製足場が生産されるようになり、丸太足場から鋼管足場への移行が加速していきました。
このように、日本においても足場には長い歴史があり、それが現在の足場へとつながっています。
足場の種類
ここで、現在使われている足場の種類について見てみましょう。
以下は、足場の種類と用途をまとめた表です。
構造・用途 | 外部工事用足場 | 内部工事用足場 | 低層用足場 |
本足場 | 枠組み足場
くさび式足場 単管足場 丸太足場 |
低層枠組み足場 | |
一側足場 | ブラケット足場
くさび式足場 ブラケット一側 布板一側足場 |
ブラケット足場
くさび式足場 ブラケット一側 布板一側足場 |
|
二側足場 | くさび式足場
ブラケット二側 |
||
棚足場 | 枠組み足場
くさび式足場 単管足場 |
||
張出足場 | 枠組み足場 | ||
その他 | 移動式足場
機械式足場 吊り足場 |
移動式足場
脚立足場 移動式室内足場 機械式足場 |
上記のように、ひと言で足場と言っても用途や構造によってさまざまな種類があるとわかるでしょう。
以下では、主要な足場の種類を解説します。
単管足場
単管足場とは、単管つまり鋼管(鉄パイプ)をつなぎ合わせて作る足場です。
昔は丸太を使っていましたが、時代と共に直径48.6mmの鋼管に代わりました。
比較的安価で、スペースが狭い場所でも設置可能です。組み立てもさほど難しくないため、DIYでも人気となっています。
ただ、鉄パイプの他にも固定型ベース金具や単管ジョイントなどの部品を使って組み立てるため、設置や解体に時間がかかるのが難点です。
また、足場の床面となるアンチがなく、鉄パイプの上で作業する必要があるため、安全面から高層の建物向けではなく低層向けと言えるでしょう。
くさび式足場
くさび式足場とは、金具(くさび)を部材の接続部分にハンマーで打ち込んで組み立てる足場です。鋼管を一定の間隔で支柱として立て、そこに水平材や斜材を設置して組み立てます。
組み立てる部材が一体化されているため、ハンマー1本で組み立てることができ、解体も比較的簡単です。耐久性が優れていることもメリットとなっています。
ただし、ある程度の広さがないと設置できないため、隣との間隔が狭い場所では使えません。
くさび式足場は主に高さ31m未満の低層から中層の建物の工事で使用されてきました。
ただ、2015年の基準改定により高さ45mまで使用範囲が広がり、外壁の塗り替えなどの短期間で済む工事では高層の建物でもよく使用されています。
枠組み足場
枠組み足場は、現在最も広く使われている足場です。鋼管を門型に溶接した建枠にジャッキベース・筋交・鋼製布板などを組み合わせて作ります。
上記の他にもジョイントやアームロック、壁つなぎなど、多くの部材を使います。また、安全確保のため、先行手摺や幅木、足場幕の設置も必要です。
部材の強度が高く安全性に優れているため、主に15階建て(45m)までの高層の建物に使用されています。部材は軽量で扱いやすく、設置や解体は比較的簡単です。
ただし、比較的大掛かりな足場で、組み立てにクレーンも使用するため、設置には十分なスペースが必要です。また、時間やコストも他の足場と比べるとかかってしまいます。
移動式足場
移動式足場は、脚柱の下端にキャスターが付いていて、自由に移動できる足場です。
基本的な構造は枠組み足場と同じで、組立や解体は簡単にできます。
高さも調節可能です。移動しながらの作業が求められる天井や壁の仕上げを効率的に行うためによく使われています。
作業中に足場が動くと危険なので、キャスターにしっかりとブレーキをかけましょう。また、凹凸のある床で移動させると転倒するリスクがあるため、注意が必要です。
吊り足場
吊り足場は、鉄骨の梁などに吊り材を設置して上から作業床を吊り下げて作る足場です。
地面から足場を組み立てるのが困難な橋梁やプラントの工事で使用されています。
構造上落下事故のリスクが高く慎重さが求められるため、設置に時間と手間がかかります。
また、安全性確保のため現場に「足場の組立等作業主任者」を配置しなければなりません。
足場の安全確保
ここからは、足場の安全確保に関する事故発生率や設置義務化に関するルールを解説していきます。
足場作業による事故発生率
足場での作業には常に危険が伴い、落下・墜落などの事故の発生率は全業種の中でも最多と言われています。
2011年以降、建設業の墜落・転落災害のうち足場からのものは、死傷災害で約15%、死亡災害で約18%という高い割合を占めています。
足場からの墜落・転落災害の約90%は、「労働安全衛生規則」の墜落防止措置がふさわしく実施されていなかった場合に発生しています。
このため、厚生労働省は2015年7月1日から足場の墜落防止対策を強化する目的で「労働安全衛生規則」の一部を改正しました。
主な改正点は以下の通りです。
- 足場の組立て作業の墜落防止措置を充実させる
- 足場の作業床についての墜落防止措置を充実させる
- 足場の組立て作業を特別教育の対象にする
- 足場の組立て後は注文者も点検しなければならない
- 単管足場についての規定の見直し
参考
※厚生労働省|足場からの墜落防止対策を強化します。
※ダイヤモンド・オンライン
足場幕の設置が義務化
厚生労働省の対策強化により、足場幕の設置も義務化されました。これは、作業床からの落下物によって工事現場の周辺に危害が及ぶのを防ぐための規定です。
弊社で取り扱っているメッシュターポリンもこの足場幕に使えます。
メッシュターポリンは、雨に強く耐久性があるターポリンの生地に細かな穴を開けたメッシュ状のシートで、風の抵抗を受けにくく強風でも破れる心配がないためおすすめです。
また、生地にプリントもできますので、大きな広告としても威力を発揮します。
まとめ
今回の記事では、足場の歴史や種類について取り上げました。
こうしてみてみると、足場も長い歴史の中で色々な変化を経ていて面白いですね。建築現場で足場を見る時には、足場の歴史にも思いを馳せてみてください。
足場からの落下事故が多く起きているという悲しい事実もあります。これからも安全優先の作業をして事故を少しでも減らしていきたいものですね。
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